声。
「久保ちゃん。」
時任にそう呼ばれる度に生き返る。
呼吸を始めるように。
「久保ちゃん。」
時任が俺を見てる安心感に包まれる。
声が聞こえる距離に居る。
他のダレも呼ばないで。
俺だけを見て、俺だけを呼んで。
そのココロ全部で俺を生かして。
他のダレに呼ばれてもそんな風に感じなかった。
個を識別する手段じゃない?
ただ俺というモノがあって、ソレに付いた名詞と言うだけのモノ。
クボタマコトが俺のコトだと認識はしてたけどね。
だからってソレで生きた心地にはならなかった。
君の声が俺を支配し、君が呼ぶ俺の名前で君を繋ぐ。
だからずっと、
「久保ちゃん。」
って、言ってて。
...end...
スポンサードリンク
Comment form